時代の先を行く前衛的な小説は、公募新人賞の一次選考者の段階で隅に追いやられる。

前衛的

時代に先駆けていることを意味する語。フランス語の「avant-garde(アヴァンギャルド)」の直訳。常人には理解し難い、過激さや難解さ、奇抜さなどがあるものを表現する際に用いられることがある。「革命的」「実験的」「先駆的」などの語とほぼ同じ意味で用いられることもある。
参照元:
Weblio

そう、Weblioには書かれている。

歴代の芥川賞受賞作をみても前衛的な小説はほとんど見ない。
候補作を見ても、お見受けしない。
芥川賞作品で該当しそうなものと言えば、安部公房「壁 ――S・カルマ氏の犯罪」
くらいだろうか。

前衛小説なるものは文体・描写でそう呼ばれるのではなく、 構成、創造力の優秀さでそう分類される。
たとえば、池田満寿夫「エーゲ海に捧ぐ」
は、構図だけみれば、ロブ・グリエの作品にありそうなもので
日本では前衛的ともいえるが、
遠藤周作氏が選評で言ったように、「決して前衛的な小説ではない。」

最近の受賞作で言えば オーソドックスなものが多い。

これは選考委員の問題でも、書き手の問題でもなく、新人公募文学賞の一次選考者による
選別がそこで行われ、保守的な作品が選ばれるからなのだとつねづね思う。
オーソドックスな作品を選んだ方が安全牌だからね。
もちろん根拠もある話なのだが、帰納法的な推察なので
お話しできるものでもない。

Follow me!