構成とは組み立てることを言う。
組立には設計が必要なのだが、
小説世界ではそこに、時系列や伏線、どこでその人物を登場させるかということが、複雑に絡み合う。

とくに小説においては時系列の展開の仕方が、作品の出来を決めることもある。
そして、その基本にあるのが、設計、つまり 「構成」である。

小説を書く作業は、まず、どんな世界で誰を主人公として描き、
どのような起承転結にして、その途中で伏線をどう登場させ、どう回収するか
を考え、ラフを作り、章立てを作り、各章の時系列を決めてそこにあてはめることになる。
そして、これが「構成」といわれるものなのだ。

2000年に124回直木賞を受賞した
山本文緒「プラナリア」という400時詰めで百枚にも満たない短編小説においても構成がよく練られている。
とくにこの作品では時系列の配置の仕方は「うまい!」にすぎる。

次にうまれてくるときはプラナリアに。
酒の席での馬鹿話で私が何気なくそう言ったら、意外にも・・・
山本文緒「プラナリア」

で始まるが、次の次 の展開では、

一昨年、私は乳がんで右胸を取った・・・

と、そこから過去の描写が展開する。
もちろんこれは、執筆する前から試行錯誤の末に組み立てられていたもので
ある。

おわかりだろうか、これらの緻密な頭の中での組み立て作業と、そこからできた
設計図がなければ、文学は描けないのだ!