文章のルールは村上龍「走れ!タカハシ」で学ぼう

小説世界の文章の書き方にはルールがある。
それなのに、芥川賞作家の作品でも平然とそのルールが無視されたりしている。
何を基準に「小説世界の文章の書き方のルール」を学べばいいのか?
ずっと考えていたのだが、村上龍「走れ!タカハシ」が最適だと考え始めている。

たとえば、「 」のない会話文というものが普通に小説・文学世界では展開される。
それをどう描くのか?
村上龍「走れ!タカハシ」文庫本は120ページにひとつの答えを提示している。

_あんたは選ばれた子供なんだからね。(_ は文字字下げ)

字下げして書けばいいだけだ。

さらに、96ページにも答えがある。
_お前にはさのうがない、とコーチは言った。(_ は文字字下げ)

ちなみにこの一文で、会話の後の地の文との連携の引用を表す助詞「と」の使い方も参考になる。
_お前にはさのうがないと、コーチは言った。(_ は文字字下げ)という書き方もできるからだ。

小説を書く人はここで悩んでしまう。
ところが、「走れ!タカハシ」を読めばそこに最適解が示されている。
会話文のあとの引用の助詞「と」は地の文に含めたほうがスッキリするのだ。

ただ、文学における文章のルールは必ずしも一つではない。
その点を理解しておく必要がある。

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